昆虫の生涯から学ぶ ~生き物の死にざま~
最近、私は少し気になる本に出会いました。それはある農学者が書いた「生き物の死にざま」(稲垣栄洋著草思社)です。それを一読し、人間と比較して色々考えさせられました。昆虫の死にざまのいくつかを紹介しましょう。
- ハサミムシの場合:ハサミムシはその名のとおり、尾の先についた大きなハサミが特徴だ。ハサミムシのメスは交尾を終えると餌をとることもなく、飲まず食わずでメスは卵の世話を続ける。約40日間もたって孵化したばかりの小さな幼虫は空腹に耐えかねて、あろうことか子供たちはその母親の体を食べ始める。母親のハサミムシは逃げないで、むしろ子供たちを慈しむようにお腹のやわらかい部分を与えて、無残にもその生涯を終える。
- かまきりの場合:カマキリのメスは交尾を終えた後、そのオスを食い殺すと言われている。カマキリは動いているものであれば何でも食べ物にしてしまう。その為カマキリのオスは、メスと交尾する時、細心の注意をしながら、メスの背中に飛び乗らなければならない。まさに命がけである。メスにとって卵を産むには豊富な栄養が必要なのだ。これらの事実を知って、人間は何と恵まれた生物であろうかと思う。きっと神様は、人間は子どもを作った後で、また何か重要な任務を果たすようなプログラムを組んでいるのではないだろうか。
(理事長 村田 忠)