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5月 28

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姉妹便り~シーズネット京都~

古代日本人の心情

~万葉集の使用文字から~

私は若い頃から何となく万葉集に惹かれ、趣味としてかれこれ50年以上も万葉集に親しんでいる。万葉時代は、お互いの会話としての言葉はありましたが、文字はなく、当時、中国から朝鮮を経由して伝えられた漢字の読み方を利用した、万葉仮名をもちいて書き物や歌を作っていたようです。そこで万葉集に使われている文字(万葉仮名)を通じて、万葉人の心根や心情を探ってみよう。

現在も、友人と別れるとき「また明日ね」と挨拶を交わしている。ここで、明日という文字には、あしたは明るい日にしようねという、あかるくて楽観的な日本人の気持ちが表れている。しかもこの言葉と文字は万葉集でも何度も使われています。そして特に感心することがあります。それは「こい」という文字です。私の小学生の頃、「こい」は「糸し糸しと言う心」を組み合わせて『戀』という文字を使っていた。それがいつしか略字化されて「恋」の形になって、なんだか味気ない感じがする。一方、万葉時代には、「こい/こひ」には漢字のよみを使って「孤悲(こひ)」の文字を使っている。この意味するところは、好き合った若い男女が離ればなれになって、一人になっていることが悲しいとしている。このことは「こい/こひ」の本質を表現していて素晴らしいと私はホトホト感心させられたものだ。このように考え、感じ万葉集を読むと万葉人の心の豊かさと心情を理解できていっそう面白くなりますよ。

理事長 村田 忠

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