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12月 01

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会員の広場(2019.12)


俳句

まどかなる仏塔ねむり山眠る
すぐそこの川に来ている浮寝鳥 (川口 昭治)

短歌

空港のライト小さくなりゆきて
見送る影に子等を探がしぬ (本田 征子)

生きる道見方を変えて明日を行く
花琹忘れぬ想い浸み込ませ
雪しぐさ冬の生き方耐えぬいて (浜 正吉)


五行歌(投稿)

なにもかも
溶けてゆく
炎熱地獄の北国
ひたすら耐える
苦行僧の如く

寅さんのように
生きてゆきたいーと
現実は厳しくて
今日もまた汗を流して
働いている二人の息子 (浮草)


五行歌の会

小包開ける
 息子の横に
  小さな体で待ちわびる
   「やったあ」と踊り出す
    動画の姿に癒されて (山崎 礼子)

見上げると
 イチョウの世界
  短い日のなごりを
   楽しんでいる
    眩しそうに (菅 妙子)


エッセイ

源氏物語の樺桜

先日のノルディックウォーキング例会時、後ろからご婦人に声をかけられた。

「桂の樹はどのような香りがするのですか?」歩きながら「甘い、白粉の香りです。春先の新緑の時は香りがより強くなります」と答えた。「源氏物語花散る里の記載ですが・・私はまだ経験がないものですから・・」との返答。

2年程前のシーズネット通信に掲載した私の拙文「春紅葉」を読み、その一部源氏物語「桂の樹の追い風の・・」から桂の香りに関心を持ったとのこと。
しばらく、源氏物語と植物の話で盛り上がった時、突然「樺桜はどんな桜ですか」と問われた。

源氏物語では、夕霧が紫の上を垣間見て「おもしろき樺桜の咲き乱れるたるを見る心地す」と、その美しさを、また、「一重散りて、八重咲く花桜盛り過ぎて、樺桜咲け」と花の咲く時期の遅速を表現している。

樹木については、ある程度知識はあるが「樺桜」の樹名に心当たりはない。

「桜は種間で交配することがあるので変種が比較的多い。山桜の一種と思いますが、調べてみます」と答えたしかし、全くわからない。山桜の一種と思われるが、源氏物語に桜は「樺桜、八重桜、山桜」の三種の記載があり、山桜とは分けている。

京都府立植物園の「源氏物語の植物」にもないが園に問い合わせをした。
園の答え「山桜の1種と思う。埼玉県の石戸蒲桜(天然記念物)が近い品種と思われるが、小説の事でもあり、諸説がある。現在のところ不明。」

過去に多くの桜の銘木が消滅した歴史もあり、「樺桜」は不明と結論。 (沖 野  孝)


絵手紙

(江崎 弘子)

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