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12月 01

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後継者という課題

NPO法人シーズネット理事長 奥田 龍人

この秋は、北海道NPOサポートセンターの依頼を受け全道で開催した「アクティブシニア等活用支援事業」セミナーの講師を務めました。旭川や函館でも行いまして、旭川・函館のシーズネット支部の皆様がたくさんご参加していただき場を盛り上げてくれました。旭川・函館支部の皆様に改めて感謝申し上げます。

「アクティブシニア」とは、10年ほど前から国などがしきりに言い出すようになった言葉で、「元気なシニア世代に社会貢献することで地域の課題に取組んでいただこう」、「シニアが社会参加することで元気を保ち健康寿命を延ばそう」という二つの狙いがある造語です。まあ、シーズネットの会員は皆アクティブシニアですので、何をいまさらという感じもありますが、そうではないシニアに届けたいという意図がこの事業にはあるのでしょう。

セミナーではいつも終了後に質問を受ける時間を確保しており、先日ある市のセミナーで今のシニア活動の核心をつく質問がありまして、それは後継者の問題でした。質問者の趣旨は「町内会やサロンなどもリーダーを担っている方は皆かなりの高齢になってきていて後を引き継ぐ人がいない。これをどのように克服できるのか」ということでした。これには私も回答に窮して「全国の町内会や民生委員などの共通の課題で、良い知恵があればとっくに実践されていたでしょう。良い知恵がないから皆が悩んでいます。シーズネットの活動も同様で、サークルもリーダーが次の人に譲りたいといってもなかなか引き受け手が見つけられず休止となる例も多くあります。次の人をどのように育てるかは皆さんで一緒に考えていかなければならない課題です」と、答えにならないようなことを言ってお茶を濁しました。

改めて、後継者の問題を考えると、生活支援をしているNPO団体などでもはじめは創始者の想いが熱くいろいろな活動を展開しますが、創始者が超高齢になり活動が難しくなると衰退していくという事例があまたにあります。実際に、市町村が行うシニアへのアンケートでも「参加者として社会貢献活動をしたいか」という問いには6割程度が「参加したい」と答えますが、「運営・企画する立場として参加したいか」という問いには「してみたい」というのは2割程度に激減します。

こういう状況を私たちはどう克服できるのでしょうか。私にも答えは見つかりませんが、ヒントは「恩送り」にあると思うのです。「恩送り」とは、ある人から受けた恩をその人に返すのではなく(多分、恩をくれた人はもういない) 、その恩を次の人に受け渡すということです。サークルなどに当てはめるとリーダーから受けた恩をバトンリレーしていくという感じでしょうか。それにより恩はさらに広がっていくのではないかと、勝手に夢想しています。アメリカでも「Pay Forward(未来に向けて支払う) 」という言葉があり、人類共通の知恵なのかとも思うのですが。

さて、「岩見さんを偲ぶ会」が11月14日に43名の参加者で賑やかに開催されました。懐かしい方々の出会いがあり、岩見さんの奥様、娘様のご参加もあり楽しい時を過ごせました。参加者の皆様に御礼申し上げます。

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