NPO法人シーズネット理事長 奥田 龍人
会員の皆様にはほとんど知られていないでしょうが、シーズネットは「北海道福祉サービス第三者評価」の評価機関であります。一昨年度に評価機関として届け出をし、今年度初めて1件の評価(保育園)を実施しました。そもそも福祉サービス第三者評価とは何なのか、などを会員の皆様に説明したいと思います。
そもそも第三者評価とは?
企業や法人が事業を行う上で適切なマネジメントや法律に基づいたコンプライアンスは欠かせないものですが、それには不断のチェックが必要です。自分たちのチェックだけでは独りよがりになる可能性もあるので、その業界の事業内容を熟知している第三者が業界の基準を基に評価する仕組みとして第三者評価が生まれました。認証を伴うISOとか、医療サービスでは病院機能評価などがあります。
福祉サービス第三者評価とは?
高齢者・障害者・保育サービスなどが対象となり、評価基準は厚生労働省が定めます。その評価基準を基に専門的・客観的な立場から評価を行うのが第三者評価機関で、都道府県に認証されて評価が出来るようになります。認証には研修を修了した評価調査者がいなければなりませんが、シーズネットは現在7名の評価調査者を確保しています。評価にかかる費用は、評価機関が定めています。
実際の評価では、まずは評価を受けたい事業所が評価機関を見積もりなどで選びます。契約後は、評価機関が事業所に自己評価をお願いし、利用者のアンケートを取ります。その後、事業所を訪問して調査し、調査結果や自己評価、利用者アンケートなどを基に、評価基準に沿ってa,b,cの評点を付けコメントします。その結果を事業所と合意の上、都道府県のサイトに公表します。
福祉サービス第三者評価の現状
事業所が第三者評価を受けることは任意(※)ですので、実際には受審はまだまだ進んでおらず、北海道の平成29年度の受審件数は42件しかありません。裏返すと受審している事業所はそれだけ質の向上に向けた意識が高いところであると言えます。評価機関も8カ所しかありません。
※社会的養護施設は義務化です。また東京都は補助金の要件となっていてかなりの事業所が受審しています。
シーズネットがどうして取り組むのか
ひとつには、会員の平均年齢が75歳ですのでこれから高齢者福祉サービスのお世話になることが多いでしょうから、自分が利用者になったことを考えればより質の高いサービスを受けたいと思うはずです。そのような利用者目線の観点を大事にして、高齢者福祉サービスがより質が高くなるよう評価を行いたいと考えています。
もう一つは、もともと私が北海道での福祉サービス第三者評価の開始に深く関わっていて、全国福祉サービス第三者評価調査者連絡会の副会長も担っており、第三者評価を北海道に根付かせたいという気持ちがあります。福祉サービスの質を高くするということは、長年福祉に携わってきた私のミッションと思っていますので、ご理解いただければありがたいです。