
NPO法人シーズネット理事長 奥田 龍人
皆さんは「生活支援コーディネーター(地域支え合い推進員)」という名前をご存じでしょうか。2014年の介護保険法改正を受けて始まった「生活支援体制整備事業」を推進する役割を担う人です。地域の支え合いを育てる大切な存在ですが、その名前や活動は、まだ十分に知られていないように思います。
今年、私は縁あって、このコーディネーターの養成研修に携わることになりました。各地の活動を知る中で、地域の困りごとに向き合い、住民とともに工夫を重ねる姿に感心しました。
2000年に始まった介護保険制度は、介護を家族だけで抱え込まず、社会全体で支える仕組みです。訪問介護では、本人の状態や必要性に応じて、身体介護や調理、洗濯、掃除などの支援を受けられます。ただし、暮らしの困りごとすべてに対応できるわけではありません。電球の交換、重い家具の移動、灯油運び、玄関前の除雪、庭の草むしりやペットの世話、大掃除、家族のための家事などは保険の対象になりません。
しかし、これらの作業は、保険の対象外だからといって生活に必要がないわけではなく、自宅で暮らし続けるために欠かせない作業でもあります。元気なうちはできても、体が不自由になると、一つひとつが大きな負担になります。
民間の生活支援サービスを利用する方法もありますが、費用が負担となる人もいます。ボランティアによる支援も広がっていますが、活動する団体や担い手が少ない地域もあります。
そこで力を発揮するのが、生活支援コーディネーターです。地域の困りごとを把握し、住民や団体、事業者などをつなぎ、必要な支援が生まれるよう働きかけます。すでにある活動が長く続くよう、運営や担い手づくりを支えることも役割です。自らすべてを引き受けるのではなく、地域の力を結び、支え合う仕組みを育てていくのです。
札幌市社会福祉協議会の生活支援コーディネーターたちは、介護保険サービスではカバーしきれない市民の困りごとを、①ごみ出し、②除雪、③通院や外出の移動手段、④買い物、⑤電球交換や窓ふきなどの高所作業、⑥重い物の移動や運搬、⑦身元保証、⑧話し相手や相談相手、人とのつながり、⑨情報の入手やスマホ・家電の使い方、⑩書類の記入や各種手続き、⑪地域活動などの担い手不足、という「新・札幌ニーズ11」にまとめました。どれも身近な暮らしに関わることばかりです。
今は「自分でできる」と思っていても、体が動きにくくなったり、認知機能が衰えたりしたとき、誰に頼めるでしょうか。離れて暮らす家族だけでは、対応しきれないこともあるでしょう。
生活支援コーディネーターは、こうした困りごとを地域で受け止めるため、住民とともに知恵を出し、活動しています。その取り組みを知ることは、私たち自身のこれからの暮らしを考えることにもつながります。「ちょっと困った」と言える相手がいて、「それなら手伝える」と応じる人がいる。そんな地域を、私たちも一緒に育てていきたいものです。
次回は、各地域のコーディネーターの方々の活動を紹介したいと思います。
さて、9月10日のシーズネット祭りは、昨年よりも一般市民の方などの来場者が増え、楽しく賑やかに開催することができました。会員の皆様のご協力に感謝申し上げます。


