
NPO法人シーズネット理事長 奥田 龍人
この頃忘れやすくなってきました。年相応と言えばそうなのでしょうけど(ちなみに74歳、もうすぐ後期高齢者)、日常生活に支障をきたす忘れ方が少しづつ増えてきたような……。近頃で言えば、ダブルブッキング(同じ日時に2つの予定を入れてしまうこと)もありましたし、「〇日までに返事するね」といっていたことを忘れて義理を欠くことなど重なって、いよいよ認知機能が低下してきたかと、心配します。
でも、認知症の判断で良く知られている話では、今日の朝食を思い出せないのが物忘れで、朝食を食べたことそのものを思い出せないのが認知症と言われています。であれば、まだ物忘れ程度かなとも思っていますが、やはり対策は必要かなと思い、毎日その日の予定や、やるべきことをメモするようにしました。
以前から、スマホでGoogleのスケジュール機能を使用し、その日の行動は載せていましたが、それでも忘れるんですよね(トホホ)。そこで、付箋紙(ポストイット)に予定とその日にすべきこと(TODO)を書くようにしたのです。結構、効果てきめんで、特にすべきことをしたときに付箋紙の記載欄に成し遂げたことを横線で消していくというのは小さな快感です。
作家の小川洋子さんの小説に『博士の愛した数式』という作品があります。この小説に登場する「博士」は、ある事故の後遺症によって新しい記憶を80分しか保つことができません。80分を過ぎると、それまでに出会った人のことも話したことも忘れてしまいます。そして、博士の背広の袖にはいつも古びたメモが留められています。そこには、「ぼくの記憶は80分しかもたない」と書かれていて、さらにおびただしいメモが貼り付けられています。つまり博士は、忘れてしまうことを前提にして、忘れても困らないようにしたのです。これは、博士が自分自身の記憶障害を補うための「外部記憶」ともいえるものです。
私たちは、記憶力が低下すると、「忘れないように頑張りましょう」と考えがちです。しかし、認知症あるいは認知機能が低下してきた人に必要なのは、忘れないように努力することだけではありません。「忘れてしまっても大丈夫なように、環境や道具で支える」という発想が大切なのだと思います。
その一つが、メモです。例えば、「9月10日10時病院」、「○○さん3時来訪」といった簡単なメモをいつも見える場所に置いておくとか、今日やること① ○○を買いに行く、② 〇〇に連絡する、というように、毎日の生活の予定を「見える化」することです。また、認知症が進行しつつある方には、①薬を飲む、②ごみを出すなど、日常で習慣化してわざわざメモにしなくてもという行動を、メモでご本人に認識させることも有効でしょう。こうすると、メモは単なる「忘れないための道具」ではなく、本人の生活を支える道具になります。
「できなくなったことを本人の努力だけで補わせる」のではなく、道具や環境を使って補えるのです。多分、皆さんも自分なりのメモを活用しているかと思いますが、その習慣を続けましょう。
さて、9月10日にシーズネット祭りがエルプラザで開催されます。いつもながらサークルの参加者が多彩な催しを繰り広げます。ぜひ、会場に足を運んでください。お待ちしています!


