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2月 01

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エッセンシャルワーカーの方々への敬意

NPO法人シーズネット理事長 奥田 龍人

シルバー新報(介護関係の全国紙)の元日号で、介護業界に関わる様々な立場の方の新春座談会が掲載されていました。その中でユニ・チャーム(おむつメーカーの大手企業)の木内さんという上席執行役員の方がこんなことを述べていました。「サラリーマンは平日に一生懸命働いてお金を稼いで、土日にお金を使って楽しみたい、と思う方はたくさんいると思います。ですが、もし世界中の人が同じ考えをしたらどうなるでしょうか。土日に旅行してシェフが作る美味しい料理を楽しむことも、交通機関もレストランもなく、旅館もやっていないということになってしまいます。土日に遊ぶことができるのは実はお金の問題ではなくて、その時に働いてくれる運転手さんや旅館の仲居さん、シェフというサービスをしてくれる人がいるからだということをよく考えなければならないと思うのです。定年までに2千万円貯めたから老後は介護が必要になっても安心なのではなく、介護してくれる人がいるからこそ安心なのです」。

ケアマネ事業所を経営している私としては、よくぞ言ってくれたという気持ちになりました。ケアマネは他の介護サービスとは違い土日は基本的に休みですが、携帯電話当番もあり、土日に利用者が転倒して支援が必要とか、行方不明になったとかもあり、気の休まることはありません。2000年に介護保険に位置付けられたという新しい職業ですが、老後の安心を支える職業として定着しております。

一方、ケアマネに関わらず介護業界は極度の人材難で、ヘルパーの求人倍率に至っては15.53倍(2022年度)となっています。地方では顕著で、ヘルパー事業所の廃止が相次いでおります。ケアマネの求人倍率も4.04倍と高く、私の事業所もずっとケアマネを募集していますが、ほとんど応募がありません。介護業界では、外国人の活用がかなり進められてきていますが、この頃は円安などが響き日本は就労先として選択されない傾向も出てきています。

もっとも、介護業界に関わらず、少子高齢化・人口減少が進む中で、建築・土木や旅館業、物流や交通機関などでの人手不足は顕著で、バス路線の廃止や土曜日の郵便配達の休止など、生活の様々なところで影響が出始めてきました。人々の日常の生活を支えるこうした職業従事者をエッセンシャルワーカーと呼びますが、土日も仕事があるとか、低賃金だとかの理由もあり、なかなか成り手の確保が厳しい状況です。

能登半島地震の被災地の復興でも、真っ先に必要とされるのは医療・介護、ごみ収集、水道・道路・電気工事、配送などのエッセンシャルワーカーです。亡くなられた方に哀悼の意を表し、避難生活を送っている方々にお見舞いを申し上げるとともに、現地で昼夜を分かたず奮闘しているエッセンシャルワーカーの方々に心から敬意を表します。

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