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1月 01

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ゆく年くる年に思う

NPO法人シーズネット理事長 奥田 龍人

この通信が届く頃は、皆さまは行く年の始末と来る年の準備に大忙しのことと思います。冬至が過ぎると日が長くなっていくことはやはり嬉しいもので、いろいろと積もった生活の課題も何かリセットされるような気持になりますね。そこで、毎年ながら新しい年が佳き年となるよう祈るわけですが、どうも世界はそんなささやかな祈りも吹いて飛ばされるような厳しい状況が続いています。

ウクライナやパレスチナでの戦争は一向に止む気配がなく、地球温暖化も待ったなし、国内では財源を示せないままの軍備増強や相変わらずの政治の腐敗が表面化するなど、あらゆる面で、政治の劣化が疑われます。昨年末にお笑いタレントのタモリが「徹子の部屋」で「新しい戦前になるんじゃないか」と発言したことが話題になりましたが、まさにそのような雰囲気が感じられるこの頃です。

第二次大戦後の日本は、敗戦国にも関わらず先人たちの努力のおかげで高度成長期を経て豊かな社会を築きあげてきました。同時に安全で安心な社会づくりにも励んできました。その成果として、犯罪率の低さ、乳児死亡率の低さと関連して平均寿命の長さなどが揚げられると思います。こうした成果には様々な要因がありますが、大きな原因の一つに戦争に直接巻き込まれなかったということは特筆しても良いことでしょう。平和を次世代に繋げていくことは、私たちの責務だと感じます。

一方、バブル崩壊後の日本は様々な隠れた課題が露出され「失われた20年」などと呼ばれ、低賃金や貧困格差などが社会問題化してきました。賃金上昇率はOECD(経済協力開発機構)加盟国の中で最低水準だし、国内総生産(GDP)がドイツに抜かれ世界4位となるなど、「Japan as No1」と叫んでいた頃(1980年代=多分、会員の皆さんが一番はつらつとしていた頃)が信じられなくなるほどの現状です。先日(12月13日)の記者会見では岸田首相が「賃上げ」を3回も繰り返していましたが、一方で、年末恒例行事の「今年の漢字」には「税」が選ばれました。インボイス制度の開始や、増税議論が活発だったためらしいです(ちなみにシーズネットもインボイスの登録を済ませております)。

まあ、いろいろと暗さを感じるばかりの年の瀬とはなりましたが、来る年が少しでも佳い年であるよう、私どもは前を向いて歩もうではありませんか。希望は願わないところにはやってこないのですから。ジョン・レノン&オノ・ヨーコもこう歌っています。

A very merry Christmas And a Happy New Year! (war is over if you want it!)

戦争が終わることを願って。

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