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5月 01

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花はどこへ行ったの?

NPO法人シーズネット理事長 奥田 龍人

1960年代にピーター・ポール&マリーの歌で流行った「花はどこへ行った」が、世界各地でまた歌われているという記事を、どこかで読みました。懐かしさとやるせなさがないまじった複雑な気持ちになりました。

懐かしさとは、私の中学時代に流行った歌であり、私がギターで一番先に覚えた歌だからでもあります。歌のコード(和音)が、ギターの初心者が真っ先に覚えるべきともいう循環コードで(C→Am→F→G7の繰り返し)、定番の美しさと落ち着きのある流れの歌です。

やるせなさとは、この歌は当時悲惨な状況が繰り広げられていたベトナム戦争への反戦の象徴として歌い継がれ、「世界で一番有名な反戦歌とも言われるフォークの楽曲」(ウイキペディアによる)だからです。今、再び世界で歌われているというのは、ロシアのウクライナ侵攻への反戦の気持ちを訴えたいがためでしょう。

歌詞は、野に咲く花はどこへ行く→少女が摘んで胸に抱く→その少女はどこへ行く→若者の胸に抱かれる→その若者はどこへ行く→戦に行く→そして戦で亡くなりお墓に眠る→そのお墓に花が咲く→花は少女が摘んで胸に抱く、という、曲同様の循環ストーリーとなっていて、悲劇の繰り返しが暗示されていますが、サビの部分に「when will they ever learn(いつになったら彼らは学ぶのだろう)」という歌詞が繰り替えされ、戦争の愚かしさを嘆いています。原曲を作ったピート・シーガ―は、ショーロホフの『静かなドン』に引用されているウクライナ民謡からこの歌詞のヒントを得たそうです。国に関係なく、民衆は皆、平和を願って、その思いを表現していたのですね。

「音楽に戦争をやめさせるだけの力があるのか? 残念ながら音楽にはそんな力はないと思います。でも聴く人に『戦争をやめさせなくちゃいけない』という気持ちを起こさせる力はあります」と、村上春樹さんは言っています(東京FM「村上RADIO特別版~戦争をやめさせるための音楽~」3月18日オンエア)。多分、「花はどこへ行った」を今、歌っている人たちもそのような気持ちで歌っていることでしょう。今は、一刻も早い終戦を願うのみです。そして、私も久々にギターを引っ張り出して歌ってみようかなと思いました。

さて、シーズネットの事務所でシーズネット発足以来ずっと総務(会員担当や物品管理など)を担っていただき法人の土台を支えてくれた大林さんが4月15日に退任しました。大林さんは、南6条の事務所時代からのボランティアで、当時から岩見さんの信頼も厚くてきぱきとお仕事をされ、またお茶やコーヒーを淹れて事務所の皆さんをねぎらうなど、その温かいお人柄は皆から愛されました。

最終日に感謝状を贈呈し長きにわたる貢献の労をねぎらいましたが、改めて大林さんのご貢献に感謝申し上げます。その日に、よっちゃんが大林さんのために「愛の賛歌」をアコーディオンで演奏してくださったのは胸にしみました。

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