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6月 21

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「健康格差を考える」

NPO法人シーズネット理事長 奥田 龍人

過日、名古屋で開催された日本ケアマネジメント学会に参加してきました。2日間にわたりケアマネジメントに関する講演や研究発表があり、大変興味深い講演をいくつか聞いて勉強になりました。今回はそのうちの一つ「健康格差」に関する講演をご紹介します。シーズネットが目指す活動が、健康格差を埋める活動であることを実感したからです。

さて、「健康格差」とはなんぞやということですが、2000年ぐらいから使われ出した言葉で、収入や社会的地位、居住地域などの要因が健康に影響を与えているという説であり、統計的に証明されています。厚労省が2012年に策定した健康日本21の目標項目として「健康格差の縮小」が掲げられて注目されるようになりました。

日本の健康格差研究の第一人者である近藤克則先生(千葉大学教授・「健康格差社会を生き抜く」(朝日新書)など著書多数)による講演では、日本における健康格差は、①所得の多寡、②教育年数、③住む地域などが影響するそうです。①と②は関連していて、食事の内容や栄養や運動に関する知識、受診することなどに差があると健康に影響するのは当然でもあります。③は意外でしょうが、調査では都市部に住む人の方が、家事全般や金銭管理、交通機関の利用などの能力が高いという結果が出ているのです。これは、都市部に住んでいる人の方が歩く機会が多いということと、もう一つは都市部の方がサークルやイベントなど社会参加する機会が多いということによるそうです。

また面白いことに、ある程度以上の所得がある人でも、同級生などと自分を比べて周囲が持っているものを自分が持っていないと思い、惨めさやねたみ、あきらめなどのマイナス感情を抱く男性は、そうでない人に比べて循環器疾患による死亡リスクが1.5倍高いということもわかっているそうです。女性にはそのような差がないということも「なるほど」と思えます。

さて、そうして見るとシーズネットの活動は凄いなあと思います。シーズネットの会員は所得の多寡や教育年数に関係なく、皆が学ぶ、集う姿勢で、社会参加し、仲間たちの健康にも気をかけて、いつも健康談義をしています。また、シーズネットの良さは、前歴の肩書は関係なく横のつながりですから、ねたみや嫉みもありません。シーズネット会員は健康格差を軽々と乗り越えているといえるのではないでしょうか。

とはいえ、私は今回もまだ行ったことのない名古屋城には行けずじまいで、仕事の都合でとんぼ返りでした。自分としては、健康には決して良くないなあと思いつつ‥‥

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