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3月 01

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シーズネット三重

私のこころの風景

自転車の三角乗りを練習した堤防道路

我が家に初めて自転車が来たのは、私が小学4年生の頃。クラスで唯一自転車に乗れない息子を不憫に思ってか、両親が中古自転車の購入を決断した結果であった。

昭和20年代末、自転車が公務員の給与の1~2ヶ月分程と言われた時代。今思えば、中古にしても薄給だった父の給料数ヵ月分を覚悟しなければならなかったのだろう。

翌日から自転車通勤に切り替えた父の帰宅を待ちかねて、薄暗くなった近くの堤防に自転車を押し上げ秘密の練習が始まった。子供用自転車が普及した現代では全く見えなくなった三角乗りでの練習、今の子たちから見れば曲乗りのようではあるが、当時は当たり前の風景であった。

堤防上は道路ではなく車が通る心配はなかったが、バランスを崩しハンドルで修正できなければ、あっけなく法面(のりめん)に突っ込むことになる。

擦り傷など絶えなかったと思うが、友達に追いつくという執念から意外と早く乗れるようになった記憶がある。これ以降、自転車はよき友であり、旅の伴侶でもあり、現在もほぼ毎日乗っている。そして近い将来免許証返納後は、今以上に頼れる足として「終の乗り物:電動アシスト自転車」を思い描いている。 (上島 幸三)

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