「さん」付けで呼ばれる会社~ある個人タクシー運転手の話~
古い話で恐縮ですが、私にはこんな経験があります。私が企業に勤めていた頃、夜遅く京都駅でタクシーに乗った時、その個人タクシーの運転手が問わず語りに話しかけました。「お客さん、京都には沢山の会社がありますが、さん付けで呼ばれる会社は三つだけですそれは大丸さん、大倉さん、島津さんです」。私はすぐにわかった。大丸さんとは大丸デパートであり、大倉さんとは月桂冠の大倉酒造であり、島津さんとは、当時私が勤めていた島津製作所のことである。
そこで私はその理由を尋ねた。すると運転手の説明は、「それは①会社が100年以上続いていること。②従業員を泣かせない(首切りしない)こと、そして③地域の住民に迷惑をかけないこと」であった。そのことについて私には思い当たることがあった。ある時、カドミメッキの廃液は人体に害があると新聞が報じた日、早速当時の社長の指示で、今後社内で行っていたカドミメッキは、専門のメッキ会社に外注することになった。また社内の実験で騒音が出るとき、我々は事前に近隣の家々にその日時の連絡とお詫びに廻った。
このようにして、私たちのNPOシーズネット京都の会員も京都の人々から、あなたは「シーズネット京都さんに行っているのね、いいわね。」と言われるように、さん付けで呼ばれるよう日々努力して、そうなれるようにと秘かに願っています。
理事長 村田 忠