«

»

6月 22

Print this 投稿

シーズネット創立15周年によせて(1)

seednet_eyecatch_7

NPO法人シーズネット理事長 奥田 龍人

今年の4月で、シーズネットは15歳になりました。まったくのボランティア団体がよくぞここまで来たなあと思います。15周年に至る道のりは、今回発行した15周年記念誌に寄稿させていただきましたので、そちらをご覧ください。ここでは、私なりに思い出深いことなど、何回かに分けて綴ってみたいと思います。
まずは、岩見太市さんと私の出会いからはじめましょう。そのためには多少、当時の背景を語る必要があります。

私は、大学卒業後の1976年に道職員に採用され障害者施設を振り出しに児童相談所、障害児の医療福祉の施設(現「こどもっくる」)に勤務してきました。この間、福祉も庇護的なものではなく、当事者の権利であるという認識に変わってきました。さらに急速な高齢化社会を迎える中で、1990年には各市町村に在宅介護支援センターが設置され、1990年代後半には措置(行政がサービスの利用を決めるので公費による負担となる)だった特別養護老人ホームとかホームヘルパーなどを、利用者との契約にしようという方向が打ち出されました。
権利=契約=社会保険方式が適当だということで、2000年に介護保険が誕生するきっかけとなりました。この頃、阪神大震災でのボランティアの活躍などもあり、NPO法が1998年に成立しました。

福祉をめぐるこのような改革があり、私は「これからの福祉は民間の方が面白いことができそうだなあ」と考えていました。1996年の年初めの新聞広告に、医療法人渓仁会で在宅介護支援センターの職員の募集が載りました。社会福祉士の資格があればなお可ということで、直感的に「面白そうだなあ」と感じ、2月に面接に行ったところ、その面接対応者が岩見さんだったのです。私が岩見さんの大学の後輩という偶然も影響したのか、4月から来てくれということになり、3月で道職員を退職しました。43歳の時です。

民間に来てみて驚いたのは、ニーズに対応するスピードの速さです。行政の場合は、ニーズに対しては必要な根拠を積み立て、何回もの決裁を経ながら予算付けし議会での承認を得る、という手間があるので、非常に時間がかかります。その点、民間は自分たちの判断で即座に対応できます。もっともその後、民間のすべてが早いわけでもなく、岩見さんの決断と実行力が、抜きんでて早かったことがわかったのですが。

岩見さんは、その頃、「食事作りが大変になってきている高齢者が多い」というニーズを知り、札幌市で初めてとなる配食サービスに取り組んでいました。ソーシャルワーカーを配食サービスにつけるという画期的な事業で、私はこのことから様ざまなことを学ばさせていただきました。(来月へ続く)

Permanent link to this article: http://www.seedsnet.gr.jp/2016/06/%e3%82%b7%e3%83%bc%e3%82%ba%e3%83%8d%e3%83%83%e3%83%88%e5%89%b5%e7%ab%8b15%e5%91%a8%e5%b9%b4%e3%81%ab%e3%82%88%e3%81%9b%e3%81%a6%ef%bc%88%ef%bc%91%ef%bc%89/