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9月 26

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「セルフ・ネグレクト」を考える(上)

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NPO法人シーズネット理事長 奥田 龍人

セルフ・ネグレクトという言葉を聞いたことがあるでしょうか。医療・福祉関係者の間では10年ぐらい前から使用されるようになった言葉ですが、一般的にはまだまだ膾炙されていないと思います。ネグレクトは「放任する」とか「無視する」とかの意味になりますが、福祉関係では「他者による世話の放棄・放任」という意味で使われます。それに「セルフ」が付くのだから、直訳すれば「自己放任」となり「自分自身による世話の放棄・放任」ということができるでしょう。この言葉が一般市民に知られるようになったのは、地域包括支援センターなどの住民への啓発活動が大きいと思いますが(杉谷副理事長を中心に担っているシーズネットの「北海道孤立防止ネットワークセンター」の活動ももちろん特筆すべきでしょう!)、「ルポ・ゴミ屋敷に棲む人々~孤立死を呼ぶセルフ・ネグレクトの実態」(岸恵美子著・幻冬舎新書2012)の影響も見逃せません。その本では、私がケアマネジャーや地域包括支援センターに勤めていたころ何回も経験した「サービスを拒否して孤立していく人々」の実態が描かれています。

そうした方々には認知症や精神疾患、アルコールの問題などを抱えている方も多く、支援は困難を極めますが、ゴミ屋敷ともなったら火災の危険や害虫発生など地域社会にも迷惑を与えますので、住民から通報を受けた役所や地域包括支援センターなどがなんとかしなければと知恵を絞ることとなります。私の経験でも、ようやく本人の了解を得てゴミ屋敷を片付けに入ったところ、ネズミが電気コードを齧っていてショート寸前だったのを見つけたことがありました(コンセントに電源が入っていなかったのが幸いでした)。

セルフ・ネグレクトに陥る方は、これからさらに増えることが予測されています。私どもも「北海道孤立防止ネットワークセンター」を運営する立場として、この対策を考えていきたいと思います。

さて、8月から9月にかけて「シルバー新報」という高齢者福祉系の業界紙(全国紙)に、NPO法人シーズネットの紹介を3回にわたり連載させていただきました。ホームページに記事を載せていますので、ご興味のある方はご覧ください。もう一つ、お知らせがあります。私は9月1日より「北海道一般社団法人ケアマネジメントサポートリンク」というケアマネジャーの事業所を立ち上げました。事務所はシーズネットと同じフロアの奥の部屋です。ケアマネジャーも3人常駐しておりますので、お気軽にご相談ください。

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