«

»

1月 31

Print this 投稿

支えられ上手になる

NPO法人シーズネット理事長 奥田 龍人

もう数え年の習慣はないのですが、それでも新年を迎えると、また歳を重ねたと感じるものです。自分の寿命は神のみぞ知るところですが、この年になると(すみません、シーズネット会員の平均年齢76歳よりは若い73歳ですが…)、あといくつまで元気でいられるのかなあと思うこともしばしばです。

さて、平均寿命から健康寿命を差し引いた年月、つまり健康でない期間は、2022年の調査では男性8.49年、女性11.63年でした。では、健康でない期間というのはどんな状態をいうのでしょう。厚生労働省の定義(健康日本21)では、「日常生活に制限があること」となっています。寝たきりとか介護を要する人も含まれますが、何らかの支援があれば日常生活を暮らしていける人も多く含まれています。つまり、あくまでも平均の数値ではありますが、あの世に行くまでの10年くらいは何らかの支援が必要な状況が生まれるということです。

人の世話になりたくないというのは誰もが思うところです。またそういう気概が自立した生活を維持していることも確かです。ただ、そうはいっていられない状況がいずれ自分の身に降りかかってくることも考えておきたいものです。

人の世話にならざるを得ない状況は、ピンピンコロリともならない限り、ほぼすべての人に訪れます。その状況が人によっては長い時もあり短く終わるときもありますが人の世話になろうとすると、気づかいや気苦労、申し訳ないなあと思う気持ちが出てくるので、なるべく避けたいと思うかと察します。

それはとても大切なのですが、困ったときはまずは助けを求めることをお勧めします。必要な支援を拒んで状態を悪化させる方を、私のケアマネジャー経験の中でたくさん見てきました。支援を拒む方もついにはにっちもさっちも行かなくなり支援を受け入れざるを得なくますが、そういう場合は往々にして入院とか施設入所など、本人が望まない状況になることが多かったのです。

ですから、より、ちょっと支えてもらいながら今できていることを維持することを考えたいものです。特に介護保険での支援は専門職が担いますので、今の生活を維持することはもとより、できなくなってきた家事や入浴なども様々な工夫によりできるようになったという例もたくさんあります。
ただ、サービスをする側も人間ですので、コミュニケーションがとても大事になります。

例えば、ヘルパーさんに過剰な要求をすると、ヘルパーさんも困り果ててしまいます。特に掃除や調理などはその人の習慣や好みがあり、そうでなければならないなどのこだわりがあると、ちょっとでも違うとクレームになることが多くあります。でも、そこはある程度妥協するというのが賢い利用者です。むしろ、良い関係になればなるほど「この人はこういう整頓を望んでいるのだ、この人はこういう味付けを教えてくれるのだ」ということがヘルパーさんにも伝わり、望む支援が受けられやすくなります。支援する方と良いコミュニケーションを築いて「支えられ上手」になることが、人の世話になっても生き生きと暮らせるコツです。

いずれ、私たちは誰かに支えられて生きていきます。その時に、支える人も支えられる人もお互い気持ちよく暮らしていきたいものです。

Permanent link to this article: http://www.seedsnet.gr.jp/2026/01/%e6%94%af%e3%81%88%e3%82%89%e3%82%8c%e4%b8%8a%e6%89%8b%e3%81%ab%e3%81%aa%e3%82%8b/