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11月 29

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生活リハビリ(ちょこちょこ体を動かす)のススメ

NPO法人シーズネット理事長 奥田 龍人

シニアの多くの方は、医師から「リハビリしてね」と言われたことがあるかと思います。高齢になると、腰、膝、肩など関節痛が増えますが、痛みのために受診すると大変な病気とか手術の適用でない限り、多くは薬とリハビリ、そして生活習慣の見直しとなります。この中で意識したいことはリハビリです。生活習慣を大きく変えることは難しいですが、リハビリはちょっと意識することで取り組むことができます。
とはいえ、リハビリは通院のときには真剣に取り組みますが、自宅でこの運動を何回、何分行うというのはなかなかに難しいものです。

そこで注目したいのが「生活リハビリ」です。日常生活で調理や掃除、買い物や散歩などを通して「ちょこちょこ」体を動かすことが、全身の筋力や柔軟性などの維持回復につながるという考え方です。

日常生活における身体活動の程度を表す単位に「メッツ」というものがあります。静かに横になっている場合を1時間につき1メッツとして、調理や洗濯は2メッツ、通常の速さで歩いたり、家財道具を片付けたりするのは3メッツとなります。ちなみに雪かきのような全身をフルに使う活動は6メッツです。

厚生労働省が関与した研究で、「強度が3メッツ以上の身体活動を週15メッツ以上行う高齢者は、身体活動をほとんど行わない高齢者と比べて総死亡及び心血管疾患死亡のリスクが約30%程度低下する」ことが示されています。ただ、「3メッツ以上の身体活動を週15メッツ以上」といわれても理解しにくいので、概ねこれに相当する「毎日40分以上の身体活動」「毎日6,000歩以上」を推奨しています。例えば40分の歩行は約4,000歩に相当し、3メッツ未満の生活活動(家事など)は約2,000歩に相当するので、1日の合計は約6,000歩となります。歩くだけでなく、調理、洗濯、片付けなどを毎日行うだけでも十分に基準に到達します。そしてリハビリの真の目的は日常生活を難儀なく送れるようにすることですので、家事がスムーズにできるというのがひとつのゴールなのです。

毎日の掃除や洗濯は面倒だなあと思っても、これらは「体を元気にするリハビリになるのだ」と気持ちを切り替えたいものです。一つの作業が終わるごとに、体や腰、腕を伸ばしたり回したりする軽めのストレッチを入れると、体がほぐれて家事をやり終えた達成感と相まって、心も体も気持ちよくなるでしょう。

日常生活にはたくさん生活リハビリのコツがあります。例えば、私は事務所ではゴミ箱を自分の机の横に置いていません。ゴミが出るたびにちょっと離れた大きなゴミ箱に入れに行きます。これだけで座りっぱなしの凝り固まった姿勢が解放されるのです。

さて、こうした生活リハビリのお話を、11月21日(金) の市民公開講座で医療法人渓仁会定山渓病院リハビリテーション部副部長の南部浩志先生を招いて「生活の中にちょっとした工夫を~家事・外出が生活リハビリ~」というテーマで行います。また、12月19日(金) には「転ばぬ先の杖~冬道の転倒予防の対策~」をテーマに北海道医療大学リハビリテーション科学部教授の鈴木英樹先生を招いて行います。いずれも会場はエルプラザ4階研修室で参加費は500円です。ご関心のある方のご参加をお待ちしております。

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