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7月 01

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会員の広場(2023.07)


短歌

痛みさえ命の証しと思へども
 朝まだき出(イ)ていくフロワーロード (本田 征子)

川柳

いい湯だな猿の家族の無の時間
 風に乗り兄の逝く先きっと虹 (田村ノブ子)

通じ合うこころの絆編む時間
 生きるのも遊び心を忘れない (浜 正吉)


初級川柳教室

青空を流れるままに春の雲
 公園でおにごっこする子らの声 (塚下健太郎)

青色の天を仰いで風通す
 たどり着く進みつかんだこの景色 (伊藤田鶴子)

桜咲く愛しき風にくすぐられ
 ここは何処揮発しちったあれやこれ (江崎 弘子)


エッセイ

「角度」

 コンサートホール「キタラ」へ出かけた。終演後、久しぶりに中島公園を散策してみることにした。ホールの正面に白い大理石で彫られた大きな横長の卵型のオブジェがある。触れてみると太陽の当たる面はふんわりと暖かく、背面は日影となって冷んやりとしている。鴨の泳ぐ池を眺めながら藤棚の下を歩き、著名人の立像に感嘆し無知に驚き、日時計のある広場へと出た。木立の隙間にチラリと白いものが見える。あれ?卵は複数あるのかと一瞬思ったのだが、その向こうにはコンサートホールの建物が見える。うん?橋を抜けて近づいてみるとそれは縦長の卵だった。え!きょとんとしている私に友人が教えてくれた。
 「今、私たちは後ろ斜め45度くらいの角度から見てるのよ」と。彼女の説明を理解するのに数秒かかったような気がする。芸術に疎い私はもう一度、卵を確認してみるしかない。当然、同じ卵だった。角度を変えるとそれは薬のカプセルにも見える。衝撃だった。

 現在の私が過去の記憶を上書きしているように、これまでに出会ってきた。

 人々、これから出会う人々も出来事も、角度が変わるとみな違う姿をしているのだ。この当たり前の事実を忘れないよう「角度」を心に刻む。 (森 真佐子)


俳句

涼しげに風にうたれて裸婦の像
 明やすしラジオ放送夢の中 (川口 昭治)

リラ香る花壇づくりやグループで
 アスパラのサラダうましや夕まぐれ (渡辺セツ子)


五行歌の会

人の命は地球より重いと
 誰かが言っていた
プーチンよ、何万人の命を奪ったか
 ゼレンスキーさん、コンクリートの残骸は
もう沢山です (福栄真理子)

五十年とは驚きです
 残りの日々も
貴方色と私色
 ほどほどに染めながら
健康願う春 (山崎 礼子)


wacco@北大


北大生「wacco」のスマホ教室


北大生「wacco」のVR体験風景

北大生の「wacco」の活動風景はシーズネットホームページ/waccoをご覧ください


絵手紙教室


大西孝子

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