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5月 01

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会員の広場(2023.5)

短歌

年令を問えば四十歳(しじゅう)と答えてた
 卒寿の母の面影恋し (森下 良子)

逝く前に何すべきかを思案せり
 映画「リビング」観た帰り道 (中浜 敏明)

スーパのワゴン押す夫(ひと)我に似て
 眉間にしわ寄せトボトボ歩む (大野 一)

やわらかに桜(はな)の香りや香(かぐわ)しい
 マスクを放ちそら仰ぎ見る (土橋 芳美)

裸木(はだかぎ)も春の陽(ひ)受けて芽吹きおり
 学童の列それぞれの門出 (瀧澤 いつ子)

満開の「河津桜(かわずさくら)」のニュースみて
 北と南の温度差を知る (斉藤 邦子)

世界一侍JAPANおめでとう
 プレー品格これも光りて (福栄 真理子)


川柳

未来図に連れて行きたい好奇心
 人生の最後のピースネット買い (田村 ノブ子)

現代短歌
果てのない列に並びて果てをみる
 値上げ前夜の民の攻防 (森 真佐子)


エッセイ

皆さんはご存じでしたか??

 某スーパーで肉を2パック買いました。とても良い肉なので喜んで帰り、開けてみたら肉の下に13センチ×7センチの透明袋があり、板状に伸ばしたひき肉のような物が入っていました。良い匂いで、焼いてみたらおいしいのでカレーに入れて食べました。

 後日、あれは何だったのかとスーパーの方に尋ねたら、その場でわからず、急に不安になってきました。肉の担当者が、我が家に訪ねてきて「あれは肉の水分を抜くためのものです」と説明と謝罪をされました。

 私の身体は何ともないのですが、毒が入っているかもと気になってきましたし、その担当者も「病院に行ってください」と言います。

 以前、知人がお菓子の乾燥材を食べて入退院を繰り返して亡くなったのを思い出し、頭の中がカラッポになり早速受診。結果、無事でした。その間、大事な会議の予定も忘れ、皆様にご迷惑をおかけしました事をお詫びします。この不注意は反省しきりです。 (齋藤淳子)

(編集部注 そのシートは『ドリップシート』『ドラキュラマット』などと呼ばれているもので、知らずに食べてしまうことが多々あるようです。お身体に害がなくて良かったですね。)


俳句

湿原の眠りは深き春の雪
 木道の果は大川水芭蕉 (川口 昭治)

春コート足もと軽ろく遠まわり
 知らぬ間に独り言ゆうコロナかな (渡辺 セツ子)


五行歌の会

余生の楽しみ
 スポーツに目を
方向転換させてくれた
 「WBC」
勇気をもらい前へ前へと (西原桂子)

晴天を仰ぎ見て
 八十路の今を生きる
日々の出来事を
 言葉に紡ぎ
五行歌へ舞い上がれ (三村ツル)


エッセイ

中山道プチ歩き

 常日頃、東海道より中山道の方が田舎道のような気がして、歩いてみたいと考えていたので、日殿言成書「誰でも歩ける中山道六十九次」全三巻を準備しました。

 また、歌川広重の浮世絵版画「木曽海道六拾九次之内」と現地を照合してみたいとも考え、中山道広重美術館より図録を取り寄せました(形から入る自分です)。とりあえず、皇女和宮降嫁と同様に、京都を発ち東方へ向かうことにしました。

 今回は、京より加納宿まで17宿場、約120㎞(車なら2時間チョット)を正味5日間で歩く比較的楽な工程ですが、あちこちブラブラ見て歩きたいので、途中で交通機関を利用することにしました。

 春、四月中旬の午後、京都三条近くのホテルにチェックインし、出発点である、三条大橋へと向いました。鴨川の隣を流れる高瀬川は、染井吉野の花びらでピンクの流れ・花筏と変わっていました。圧巻である。まさに「散っても桜」です。
1日目は、三条大橋から街道筋の桜を見ながら、山科を過ぎ、逢坂山の坂の途中から琵琶湖を望む位置(大津宿)を確認し、三井寺に参拝して、電車で京都のホテルへ帰りました。

 2日目は前日の大津まで電車で行き、そこから歩き始めました。少し中山道を外れ、石山寺に参拝しました。戻って、各種の合戦の舞台となった瀬田唐橋を渡り、ひたすら街道を歩きました。街道は、予想どおり静かなたたずまいの(典型的な過疎地)街並みと田園風景の連続です。

 東海道との分岐点、草津宿に泊まり、居酒屋で美味しい日本酒を頂きました。武佐宿の浮世絵版画「横関川の渡し」の位置を笹藪をかき分けて探し当てました。

 鳥居本宿を過ぎて、中山道随一の景、摺針峠に登り、望湖堂跡の神の宮から琵琶湖を望み、その後京都を背に歩き、「瞼の母・番場の忠太郎」の番場宿を通過し、「三水四石の名所」の醒井宿を目指して歩きました。
街道筋は、当に歴史の宝庫、また、俳句好きにはもってこいの「芭蕉の句碑」が至る所にありますが、諸施設を詳細に見学すると北海道に帰り着きません。

 宿場には宿泊施設が少なく、3、4日目は街道筋を外れて泊まりました。5日目の午後、加納宿(岐阜駅)から電車で名古屋駅に向かい、駅前のホテルに投宿し、翌日、中部国際空港より千歳を経由して札幌に帰還しました。 (沖野 孝)


絵手紙教室


江崎 弘子

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