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3月 26

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ケアマネジメント学会in北海道研究大会について

NPO法人シーズネット理事長 奥田 龍人

平昌五輪の熱い戦いに、皆さんも一喜一憂していたのではなかろうか。冬季五輪ということもあって、我が地元北海道の選手たちも大活躍した。中でも、あっという間に「そだねー」の言葉が日本中を駆け巡ったカーリング女子の奮闘ぶりは印象に残る。チームLS北見が、銅メダルを掲げて常呂町の練習拠点であるカーリング場に凱旋した2月27日、チームの一員である常呂町出身の吉田知那美さんが、詰めかけた人々を前にスピーチした。「正直、この町何もないよね」といって思わず笑う。そのあと「この町にいても夢は叶わないと思っていました。でも今は、ここにいなかったら叶わなかったと思います」と涙ぐんで語る。そして「子どもたちのみんなもたくさんいろんな夢があると思うけど、場所は関係ない。大切な仲間や家族がいれば、この町でも夢は叶えられると思います」と締めくくった。

この言葉にとても感銘を受けた。というのも、私は、この5月に札幌市で開催される日本ケアマネジメント学会第17回研究大会の大会長となり、大会のテーマを「北の大地から、地域まるごとケアマネジメントへの挑戦」としたのである。

「地域まるごとケアマネジメント」ってなんだろうと思われるだろうから若干解説するが、医療・介護の方面では「地域包括ケアシステム」を創ろうという動きがある。これは、住み慣れた地域で最期まで安心してケアを受けられるようにすることを目指し、市町村単位でのケア体制を整備しようというものである。また、福祉の方面では「我が事丸ごと」という概念が打ち出されたが、これは、地域の様々な課題(高齢・障害・子育て・生活困窮者など)を、今までの縦割りではなく丸ごと取り組んでいこうというものである。両方に共通しているのは、少子高齢化・人口減社会の中で、増大する医療・介護・福祉の費用の抑制と人材不足を補うために、地域の社会資源(高齢者の活躍も期待されている)を連携して乗り切ろうとする考えである。

そういう両方の面から「地域まるごとケアマネジメント」のあり方を考えての大会テーマとした。地域包括ケアシステムも我が事丸ごとも、その町々ごとに創られるものであろうし、吉田選手が言うように、大切な支えがあれば叶えられるものと信じたい。

研究大会は、5月19日・20日に札幌市の北星学園大学で開催され、皆さんが参加できる市民公開講座(無料)として前沢政次先生(京極ひまわりクリニック)による講演「地域まるごとケア~あるがまま、ないがまま~」、北海道の有識者・実践者による「地域まるごとケア~わがまちを育てる~」(いずれも勇美記念財団による助成)も開催します。皆さんのご参加をお待ちしております。

付記:3月25日(日)の9:30~9:50にHBCラジオで放送される村井裕子「ほっかいどう元気びと2018」に登場してシーズネットの活動を紹介しますので、聞いてくださいね。

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