«

»

8月 24

Print this 投稿

「シーズネットが高齢者向け住宅問題に関わる意義」その1

NPO法人シーズネット理事長 奥田 龍人

先日、北海道新聞の1面と社会欄に「道内の無届け有料老人ホーム」という記事が載りました。「老人福祉法で義務付けられた自治体への届け出を出していない道内の無届け有料老人ホームのうち、7割が病院から入居者の紹介を受けていることが、一般財団法人高齢者住宅財団(東京)の調査で分かった。無届けホームは施設基準を満たしていないことが多いが、入居費用は概して安い。低所得で身寄りのない高齢者の行き場は限られており、無届けを承知で紹介しているケースが大半とみられる」(道新8月17日朝刊)という内容の記事でした。

社会面には、「無届けホームが命綱」という大見出しで、無届けホームが、入院後自宅に戻れない低所得の高齢者の受け皿となっていることを明らかにする一方で、行政のチェックが不十分なので身体拘束などの虐待事例も見つかっている、と指摘しています。

記事は「今回の調査に関わったNPO法人シーズネット(札幌)の奥田龍人理事長は『自治体は届け出を促して情報開示を進め、質の確保を目指すとともに、低所得者の住まいの費用負担や設備をどうするかを議論していく必要がある』と指摘する」と締めくくっています。

私の名前が載ったので、何人かの方から質問を受けました。そこで、この機会にシーズネットとして、この問題に関わってきた経緯やその意義などを会員の皆さんにお知らせしたいと思います。

記事にある高齢者住宅財団の調査は昨年度に国交省が助成した研究事業の一つで、私は調査研究委員の一人として加わっていました。なんで私が、ということですが、実は「札幌にあるシーズネットというNPOが早くから高齢者向け住宅問題に関わってきており、市民の目線で活発な活動をしている」ということは、全国の関係者の間では、結構知れ渡っているのです。そんな経緯から委員のお声がかかり引き受けた次第です。

さて、まずは、シーズネットとシニア向け住宅の関係をひも解いてみましょう。

シーズネットが、シニア向け住宅の問題に取り組んだのは2003年からです。創設者の岩見太市理事長が、「札幌にはどんどん有料ホームではないシニア向け住宅ができてきている。会員からどこがいいのか、などと聞かれるが、把握のしようがない。実態調査などして市民へ情報提供できないものか」と考えたのです。そして、会員にひろく呼びかけ「高齢者住まいの研究会」を立ち上げました。(この項続く)

Permanent link to this article: http://www.seedsnet.gr.jp/2017/08/%e3%80%8c%e3%82%b7%e3%83%bc%e3%82%ba%e3%83%8d%e3%83%83%e3%83%88%e3%81%8c%e9%ab%98%e9%bd%a2%e8%80%85%e5%90%91%e3%81%91%e4%bd%8f%e5%ae%85%e5%95%8f%e9%a1%8c%e3%81%ab%e9%96%a2%e3%82%8f%e3%82%8b%e6%84%8f/