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11月 21

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中国・樺太帰国者の支援(1)

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NPO法人シーズネット理事長 奥田 龍人

あまり知られていないことと思いますが、シーズネットは「中国・樺太等帰国者支援事業」に取り組んでいます。2回続けて、この事業の内容と、何故シーズネットが取り組んでいるのか、ということをお話ししたいと思います。

まず、「中国・樺太等帰国者」とは、中国・樺太等の残留邦人のうち、日本に帰国した方の総称です。

『昭和20年当時、中国の東北地方(旧満州地区)には、開拓団など多くの日本人が居住していましたが、同年8月9日のソ連軍の対日参戦により、戦闘に巻き込まれたり、避難中の飢餓疾病等により多くの方が犠牲となりました。このような中、肉親と離別して孤児となり中国の養父母に育てられたり、やむなく中国に残ることとなった方々を「中国残留邦人」といいます。

また、日ソ開戦時、樺太(千島を含む)には約38万人の一般邦人、また、約1万人の季節労働者が居留していました。開戦により樺太庁長官は、軍の要請と樺太の事態にかんがみ、老幼婦女子等を北海道に緊急疎開させることとしましたが、昭和20年8月23日、ソ連軍によりこうした緊急疎開が停止されました。その後、集団引揚げが昭和34年までに行われましたが、様々な事情が障害となって樺太に残留(ソ連本土に移送された方を含む。)を余儀なくされた方々を「樺太残留邦人」といいます。

中国及び樺太に残留された邦人の方々は、戦後の混乱の中、肉親と離別するなどし、国外に残留を余儀なくされ、長年筆舌に尽くせないご苦労がありました。ようやく日本に帰国されたときは、年齢を重ね中高年となっていたため、日本の教育も受けられず、日本語の習得には大変な困難があり、言葉が不自由なため就労も思うようにはいかず、安定した職も得られませんでした。また、戦後の高度経済成長の時期には国外にいたため、他の日本人とは違いその恩恵を受けられませんでした。このため、帰国後も懸命な努力をされましたが老後の準備が十分できず、また、言葉が不自由なため、地域にもとけ込めない方々もおられます。』(『 』内は厚生労働省のHPから引用)

中国帰国者は、平成28年10月現在、永住帰国者の総数 6,716人(家族を含めた総数20,894人)で、一時帰国の延人数は 5,988人 (家族等を含めた総数 10,051人)です。樺太帰国者は、永住帰国者の総数 108人(家族を含めた総数 273人)で、一時帰国の延人数は2,233人(家族等を含めた総数3,234人)です。

彼らがそのような環境に置かれた責任は、言うまでもなく国家にあります。そのための様々な施策があり、シーズネットは、そのごく一部のお手伝いをしています。(この項続く)

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