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8月 25

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ますます複雑化する介護保険制度

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NPO法人シーズネット理事長 奥田 龍人

のっけから私事で恐縮だが、先月、母が天に召された。95歳であったので天寿を全うしたと思っているが、亡くなる前日に私とデイサービスの見学もしたり親族と電話で会話したりもして、しっかりと意識もあったので、看取りのケアという感覚ではなかった。
介護病棟を退院して高齢者向け住宅に移り、ケアマネジャーさんにとても良いケアプランを作成していただき、QOL(生活の質)が少しずつ上がってきたなと思っていた矢先のことであった。

私事はさておいて、その間、利用者の家族として経験した介護保険制度の在宅サービスのことを少し語りたい。まずは、ますます複雑怪奇な制度になっているなあというのが印象である。
私の母の場合、利用するサービスが、居宅介護支援事業所(ケアマネジャー)、訪問介護、訪問看護、訪問入浴、訪問リハビリ、それに制度外ヘルパーと6つあり、それぞれのサービスごとに重要事項の説明と契約書への同意が必要となる。
さらに、サービス担当者会議とリハビリカンファレンスがそれぞれ1回、そして出来上がったケアプランの説明と同意、毎月のサービス内容を確認する利用票の説明と同意、それらを一週間ぐらいの間にどっと行ったわけである。提示された利用票と別表はサービス内容による介護報酬加算の欄がとても多いためそれぞれ2枚(計4枚)にもわたり、理解するには骨が折れる報酬単価の数字ばかりが並んでいる。
ケアマネジャーを経験している私でもわかりづらいのだから、普通の利用者、家族にとってはもっともっと理解しがたいのではないだろうか。家族目線で見ると、特に各種の加算の根拠がわかりづらく、説明にも「ふんふん」とうなずいてやりすごすしかない。

介護保険制度は、利用者の増加によりサービス事業所や施設に支払う介護報酬も増大しているので、この4月から報酬を下げた。しかしそれでは事業所・施設の経営が難しくなるので、多数の加算(例えば資格者が一定以上配置していたら加算など)を付与している。それが一層利用者にはわかりづらく、事業者には煩雑な制度となっている。事務作業を軽減し、簡素で質の高いサービスの提供というやり方は工夫次第で可能だと思う。国もそのことをもっと研究すべきではないだろうか。

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